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時代と併走して撮る 篠山紀信「才能と表現力。今も磨き続けています」(2012年9月18日)

週刊エコノミストは、各界の第一人者にロングインタビューを試みてきました。2004年から「ワイドインタビュー問答有用」、2021年10月からは「情熱人」にバトンタッチして、息長く続けています。過去の記事を読み返してみると、今なお現役で活躍する人も、そして、今は亡き懐かしい人たちも。当時のインタビュー記事から、その名言を振り返ります。※記事中の肩書、年齢等は全て当時のままです。

時代と併走して撮る・写真家 篠山紀信

ワイドインタビュー・問答有用(2012年9月18日)

 50年ほどの活動期間に300冊以上の写真集を刊行し、時代を代表する人物をカメラに収めてきた。最近は、美術館で個展を開催したり、建設中の構造物を撮影したりと、挑戦を続けている。(聞き手=中川美帆・編集部)

── 「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」を6月30日~9月17日に熊本市現代美術館で、10月3日~12月24日に東京オペラシティアートギャラリーで開催します。国内の美術館で大規模な個展をするのは初めてですね。

篠山 美術館というのは、写真を額に入れて、「大変な芸術的価値があるものだから、皆さん、鑑賞しなさい」という態度で展示します。そういうのがイヤだったのです。写真の死体置き場みたいに鎮座している感じや、それを鑑賞することが、僕には面白くなかった。写真には芸術性もありますが、もっと広く、力強いものではないかと。

── それが、なぜ美術館でやることにしたのですか。

篠山 美術館は非日常的な場所で、白い壁と大きな空間があります。そこに、写真の力を存分に発揮したものを置いたら、どうなるのかなと考えました。「空間力」対「写真力」のバトルです。挑戦や実験をする気持ちでやりました。でも案の定、ずっとやっていなかったのに、今ごろ美術館でやるというので、「回顧展ですか」「総集編ですか」と言われています。回顧なん…

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