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ノーベル物理学賞受賞 小柴昌俊「無駄な研究を減らすカギはヤマ勘だ」(2004年5月18日)
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週刊エコノミストは、各界の第一人者にロングインタビューを試みてきました。2004年から「ワイドインタビュー問答有用」、2021年10月からは「情熱人」にバトンタッチして、息長く続けています。過去の記事を読み返してみると、今なお現役で活躍する人も、そして、今は亡き懐かしい人たちも。当時のインタビュー記事から、その名言を振り返ります。※記事中の肩書、年齢等は全て当時のままです。
基礎科学の守護者・東京大学名誉教授 小柴 昌俊
ワイドインタビュー・問答有用(2004年5月18日)
私財を投じてまで昨秋、「平成基礎科学財団」を設立した小柴昌俊・東京大学名誉教授。設立から半年、財団の活動も本格化してきたが、改めて基礎科学のあり方を聞いた。(聞き手=小林 剛・編集部)
周囲は設立に反対した
-- 昨年、小柴さんはノーベル賞の賞金など私財を投じて「平成基礎科学財団」(東京都千代田区)を設立し、理事長に就任しました。財団設立の目的は何でしょうか。
小柴 基礎科学の研究には大きな金額が必要ですから、本来は国レベルでやることなんですね。にもかかわらず、ちっぽけな財団を作ったわけです。そんな財団は役に立たないだろうと思う人もいるかもしれませんが、そうではないでしょう。
基礎科学は個々の産業、企業のもうけにはなりませんが、国民全体が共有する知的財産です。共有の知的財産を増やしていくことに少しでも貢献できれば、応援できればという思いで作った財団です。
平成基礎科学財団は2003年10月1日設立された。03年度の収支表を見ると、収入は基本財産1億円、賛助会費1450万円と、確かにまだ「ちっぽけ」だ。同財団のホームページで、小柴氏は「この低金利の時代に新しく財団を作るということは無謀な考えとお思いになる方もいらっしゃるかと存じます」と述べている。
小柴 財団を作ろうとしたら、周りの先輩たち、特に経済に明るい先輩は、…
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