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週刊エコノミスト Online 創刊100年特集~Archives

野球解説者 豊田泰光「わが“毒舌人生”の原点を語ろう」(2004年8月3日)

週刊エコノミストは、各界の第一人者にロングインタビューを試みてきました。2004年から「ワイドインタビュー問答有用」、2021年10月からは「情熱人」にバトンタッチして、息長く続けています。過去の記事を読み返してみると、今なお現役で活躍する人も、そして、今は亡き懐かしい人たちも。当時のインタビュー記事から、その名言を振り返ります。※記事中の肩書、年齢等は全て当時のままです。

野球をこよなく愛し憂う男・野球解説者 豊田泰光

ワイドインタビュー・問答有用(2004年8月3日)

「プロ野球は一度なくなったほうがいい」--野球を愛してやまないこの男の叫びは、悲痛で重い。現場への復帰を断ち切り、吐き続けてきた毒舌の裏側には、実は野球に対する溢れる愛情が詰まっているのだ。おもねらない生きざまがそこにある。(聞き手=濱條元保・編集部)

豊田 僕は今、プロ野球はいっぺん、なくなったほうがいいと真剣に思っています。それくらい問題は深刻です。10年以上前から僕は、プロ野球の危機、とりわけ、パ・リーグの存亡を憂え、抜本的な改革を訴え続けてきました。しかし、野球界の人間は誰一人、僕の話に耳を傾けませんでした。

 日本のプロ野球球団に「経営」という2文字はありません。親会社におんぶに抱っこ、青天井化する選手の年俸を無条件に受け入れていけば、早晩、経営が立ち行かなくなることは自明の理だったのです。

 近鉄とオリックスの合併問題が急浮上した時は、「来るべき時が来ただけ」と、僕は冷ややかに受け止めました。プロ野球界のOBとしては嘆き悲しむべき立場かもしれませんが、僕の心境はそうではありません。むしろ、野球のすばらしさを知らない、親会社の宣伝という発想しかない旧態依然の体制を一度壊して、一から作り直す最後のチャンスだと受け止めています。

 自身の体験を織り交ぜた、軽妙で辛口のコラムで人気を博す。プロ野球界屈指の評論家である。時に舌鋒鋭く、スポーツ界ばかりでなく、教育や社会問題にも言及。プロ野球界の現状に苦言を呈し続けてきた。その毒舌ぶりは最近、達観した領域に達しつつある。

エースで4番、キャプテンをずっとやっている

豊田 はっきりものを言うのは、習い性みたいなものだろうね。小さい頃から正義感は強かった。しかし、品行方正で何も悪いことはしなかったという意味ではない。若い頃には人並みに悪いことをしました(笑)。

 今の僕の…

残り4715文字(全文5715文字)

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