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光と影の表現者 藤城清治「僕の作品の原点は見る人と一緒に楽しむこと」(2010年3月30日)

週刊エコノミストは、各界の第一人者にロングインタビューを試みてきました。2004年から「ワイドインタビュー問答有用」、2021年10月からは「情熱人」にバトンタッチして、息長く続けています。過去の記事を読み返してみると、今なお現役で活躍する人も、そして、今は亡き懐かしい人たちも。当時のインタビュー記事から、その名言を振り返ります。※記事中の肩書、年齢等は全て当時のままです。

光と影の表現者・影絵作家 藤城清治

ワイドインタビュー問答有用(2010年3月30日)

独特の美しい影絵で世界に名を知られる藤城清治さん。この4月(2010年)で86歳になるが、今も作風を広げながら、旺盛な制作活動を続けている。「子どもの遊びの延長のように今日までやってきた」という藤城さんに、その人生と作品について聞いた。(聞き手=永野原梨香・編集部)

 藤城清治さんのアトリエは、東京都目黒区の住宅地にある。入り口には、藤城さんの愛車であるピンクのポルシェと、藤城さんの影絵にしばしば登場する「こびと」のオブジェ。中に入ると、犬や小鳥が顔を見せ、大きな作業台の上には猫がわが物顔に座っていた。こうした動物たちも、藤城さんの影絵には欠かせないモチーフだ。 18歳で油絵の初個展を開いてから67年。影絵だけでなく影絵劇や人形劇でも活躍してきた。雑誌『暮しの手帖』の連載などを通じて広く知られるようになった影絵は、影絵劇から生まれたものだ。人形劇では、主宰した「木馬座」から、日本の人気キャラクターの1つ「ケロヨン」が生まれた。 常に進化してきた藤城さんの作風が、この数年、また変化しているようだ。これまでのメルヘンを中心とした世界のほかに、広島の原爆ドームや長崎の軍艦島など、日本の現実の風景を描く作品が増えているのだ。4月24日から6月13日まで高知県立美術館(高知市)で開く展覧会でも、高知の風景を描いた作品が出品される。

年月…

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