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工業デザイナー 水戸岡鋭治「利用者の心地よさが一番大切です」(2011年11月15日)

週刊エコノミストは、各界の第一人者にロングインタビューを試みてきました。2004年から「ワイドインタビュー問答有用」、2021年10月からは「情熱人」にバトンタッチして、息長く続けています。過去の記事を読み返してみると、今なお現役で活躍する人も、そして、今は亡き懐かしい人たちも。当時のインタビュー記事から、その名言を振り返ります。※記事中の肩書、年齢等は全て当時のままです。

鉄道車両デザインに革命・工業デザイナー 水戸岡鋭治

ワイドインタビュー・問答有用(2011年11月15日)

 常識を覆すアイデアで鉄道車両や駅舎のデザイン革命を起こした水戸岡さんは現在64歳。この10月、23年間の集大成であるデザイン画展を東京・六本木で開き、大反響を呼んだ。しかし、まだ夢を持ち続ける。(聞き手=永野原梨香・編集部)

── 今年3月の九州新幹線鹿児島ルートの全線開通に合わせ、東京・六本木で開いた「水戸岡鋭治の大鉄道時代展」では、行くところ、行くところで人に囲まれていましたね。

水戸岡 おかげさまで大変な盛況でした。これまでサポートしてくれたお客さんや職人さんへのお礼が目的。できるだけ多くの人と話したかったので、私もできる限り会場に足を運びました。小さな子どもから年配の夫婦まで、これほど幅広い層の人々に来てもらえるとは思っていませんでした。

 振り返れば、JR九州の仕事を始めた1988年当時、鉄道ってあまり人気がなく、デザイン分野でも車や飛行機が先を行ってました。鉄道は置いていかれたような存在で、「鉄道の旅好き=鉄道オタク」みたいなイメージもありましたよね。

 そこで、鉄道の旅を復活させようと、JR九州が「笑顔が生まれる、楽しい旅を提供する」を合言葉に、車両の外装や内装に力を入れ始めました。私は、そんな時代に「出会った」ことになります。

 水戸岡さんは88年、九州旅客鉄道(JR九州)の気動車(ディーゼル車…

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