コアシビック 民営刑務所運営の米大手 宮川淳子
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CoreCivic 23年売上高2.8%増/108
コアシビックは“民営刑務所”の施設保有・運営を本業とする米企業だ。1983年、弁護士で米共和党テネシー州組織の要職を務めたトマス・ビーズリー氏らが「コレクションズ・コーポレーション・オブ・アメリカ」という社名で創業した(「米国矯正会社」の意味)。
同社は翌年、米司法省移民帰化局(現国土安全保障省移民・関税執行局)から入国者収容所の運営を請け負って南部テキサス州に開設したほか、南部テネシー州の郡少年院と郡拘置所を運営し始めた。米シンクタンク、ブルッキングス研究所の研究者による論文によれば、米国の郡当局が運営を民間委託した初めての拘置所だった。
収容定員6万人超
米国では連邦、州、軍隊が別個の刑事司法制度を運用し、刑事施設もそれぞれが運営する。郡拘置所は未決拘禁者や刑期が短い受刑者を収容する施設だ。同社はのちに連邦刑務所を運営する司法省連邦行刑局などの連邦機関からも施設運営を請け負うようになった。2016年には、出所が近い服役者の就職支援などをする「居住型社会復帰センター」の運営を始めたことから、現社名に変更した。
23年12月末現在、所有・運営する刑事施設は39、警備を受託する刑事施設は4、収容定員は6万4729人に上る。
主な事業セグメントは、刑事施設運営事業、居住型社会復帰センター運営事業、刑事施設リース事業の三つだ。
刑事施設運営事業は売上高と営業利益の9割を占める。業績拡大を後押ししたと見られるのは、米刑事施設の収容者が大幅に増えたことだ。米シンクタンク「プリズン・ポリシー・イニシアチブ」が集約したデータによると、米刑事施設の収容者数はコアシビックが創業した83年からピークだった08年の間、3.6倍に膨れ上がった。その後は微減し、新型コロナウイルスの影響がない19年は約211万人だった。日本の『犯罪白書』によれば、同年末の日本は4万8429人であり、米国の多さが際立つ。
請負元は連邦、州、郡の各機関だ。連邦機関は国土安全保障省移民・関税執行局、司法省連邦保安官局、同省連邦行刑局で、22年度売上高の52%を占めた。施設運営契約の期間は長くて5年。契約のほとんどは政府側が無条件で解除できる条項があり、予算見直しの対象になっている。しかし、同社の契約更新率は高く、23年までの5年間は95%に上った。新型コロナの感染が…
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週刊エコノミスト
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