投資・運用株式市場が注目!海外企業

ウィングストップ 急成長中の米フライドチキン店 児玉万里子

米ニューヨーク市にあるウィングストップの店 (Bloomberg)
米ニューヨーク市にあるウィングストップの店 (Bloomberg)

Wingstop 28%増収と好調に推移/109

 ウィングストップは手羽先のフライドチキンを主力商品とする米ファストフードレストラン運営会社だ。南部テキサス州でピザレストランチェーンを経営していたアントニオ・スワッド氏とバーナデッタ・フィアスケッティ氏のカップルが1994年、同州ダラスの郊外都市に1号店を開いた。98年には初のフランチャイズ加盟(FC)店を開店している。

 総店舗数が90店を超えた2003年、創業者の2人は同社を米投資会社に売却。09年にはメキシコに初の海外店をオープンさせ、翌年の総店舗数は440店を超えた。米業界誌『ネーションズ・レストラン・ニュース』は14~16年の3年連続で同社を「売上高上昇率が高い飲食チェーン」の全米3位に挙げている。15年には米ナスダック証券取引所に上場した。

世界に2214店

 主力商品は注文を受けてから油で揚げるチキンとフライドポテトのセット。甘口の「ハワイアン」や辛口の「アトミック」など11種類のソースを店で毎日手作りするのが売りだ。23年10~12月期売上高のうち、スマートフォンなどからのデジタル注文は67%に上り、店内で食べる客より持ち帰りか宅配サービスの利用が多い。店舗面積は狭く、便利な立地でなくてよいことから、出店費用は少なくて済む。

 昨年末現在の総店舗数は米国のほか、メキシコ、英国、シンガポール、米領プエルトリコなど海外・米領土10カ国・地域に2214店(日本には未進出)。そのうち98%の2165店はFC店だった。同社はFC店を経営するフランチャイジー(加盟者)と10年契約を結ぶ。昨年末現在、米国内のフランチャイジーは216。フランチャイジー当たりの運営店数は平均9店、運営期間は同14年だ。

 フランチャイジーは契約時に契約金、開店時に加盟金を支払うほか、売上高の6%をロイヤルティー(権利使用料)、5%を広告費用の分担金としてウィングストップに支払う。後者は17年に始めた全国ベースの広告キャンペーンの分担金だ。同社はFC店売上高の11%を受け取り、16年までの推定6%前後から取り分が増えている。

 店舗敷地の購入・リース費用などを別にすると、フランチャイジーが負担する当初費用は48万ドル(約7200万円)。23年12月期の米国店1店当たりの平均売上高は182万ドル(約2.7億円)だった。FC店にとっては比較的少ない初期…

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週刊エコノミスト

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