フグロ オランダの地質調査大手 児玉万里子
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Fugro 洋上風力が好調で増収/115
フグロはオランダの地質調査大手だ。同国のエンジニア、コルネリス・ヨウストラ氏が1962年、「インジニアーズビュロー・フォー・フンデアリングステクニック・エン・グロンドメハニカ」という社名で創業した(オランダ語で「基礎技術・土質力学エンジニアリング会社」という意味)。その略称が現社名のフグロだ。
ヨウストラ氏は「コーン貫入試験(CPT)」という地盤調査法に将来性を感じ、新会社の特徴として売り込んだ。地面に先端のとがった円すいを機械で押し込んで硬さなどを調べるという当時は新しかった手法だ。創業後初めての受注はベルギーの高速道路建設に伴う地盤調査だった。
海底調査に強み
当時、オランダ北方の北海で海底油田の開発が始まっていた。同社は67年、油田掘削装置の建設場所を決めるための海底調査を蘭建設会社から請け負った。70年には米国、73年には英領香港に拠点を設け、国際展開を一段と強化した。87年、米国の同業他社を買収して「フグロ・マクレランド」と改称し、海洋地質調査市場で世界最大手に上りつめた。92年には蘭アムステルダム証券取引所(現ユーロネクスト・アムステルダム)に上場し、94年に現社名に改称した。
2003年には英国の同業大手の大型買収を手掛けた一方、海底地震調査事業を13年に売却するなど、事業分野の集中を高めている。昨年末現在、57カ国で約1万人を雇用している。
23年売上高のうち洋上調査は76%、陸上調査は24%を占めた。事業分野では、地盤調査、基礎構造の設計、ケーブル敷設ルートの選定、地質災害予想、風力予想、気象や水流の調査などからなる立地特性調査が同年売上高の69%、設備の運用管理事業が31%を占めた。
顧客の業種別では、石油・ガス38%▽洋上風力発電設備など再生可能エネルギー35%▽建物、生産施設、橋りょう、空港、道路などインフラ23%▽防潮堤や内陸水路などの水資源管理4%──だった。石油・ガスは14年の78%から大きく低下した一方、再生可能エネルギーは10%未満からはね上がった。インフラは比較的安定して推移している。
売上高は14年まで増加傾向だったが、同年をピークに17年まで急減した。原油価格が大幅に低下し、石油会社が投資や運営コストを削減した一環で新規開発を縮小した影響だ。昨年の石油・ガス売上高は上向いたが、ピーク時の半分に達していない。石油・ガス売上高は既存設備を稼働・管理するための監視業務などが大半を占める。
一方、再生可能エネルギー売上高は急増している。洋上風力発電所を建設するには、海底の地質データが必要とな…
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週刊エコノミスト
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