クラウドストライク・ホールディングス サイバーセキュリティー世界2位 宮川淳子
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CrowdStrike Holdings 36%増収と高成長/119
クラウドストライク・ホールディングスはサイバーセキュリティー専業で時価総額が米パロアルトネットワークスに次ぐ世界2位の大手だ。2011年、同業の米マカフィーで最高技術責任者を務めたジョージ・カーツ氏(現最高経営責任者=CEO)らが創業した。
米民主党の依頼に対処
13年には「エンドポイント検知・反応(EDR)」という機能を備えたソフトウエア「ファルコン」を市場投入した。同社ウェブサイトに載る説明によれば、EDRとはウイルス対策ソフトウエアをすり抜けたサイバー攻撃の動きを検知し、無力化する機能だという。
米司法省は同年、不正プログラム「ゲームオーバー・ゼウス」を用いてコンピューターのユーザーをだまし、多額のお金を不正送金させる事件の容疑者を摘発した。発表文は「非常に有益な技術支援」を受けた相手として、クラウドストライクを挙げている。
さらに16年11月の米大統領選に向けた選挙運動が活発化していた同年4月、同社は米民主党全国委員会からサイバー攻撃への対処に関し、依頼を受けた。同社ウェブサイトに載る説明によれば、米連邦捜査局(FBI)はロシアのハッカーが民主党全国委のコンピューターに侵入したことを把握し、同党に対処を求めたという。依頼を受けたクラウドストライクはサイバー攻撃の痕跡を確認し、侵入した不正プログラムを除去した。
同社は19年、米ナスダック証券取引所に上場した。
昨年5月には生成AI(人工知能)を活用したサービス「シャーロットAI」を始めた。ファルコンを導入したユーザーが「マイクロソフト製品の最新の脆弱(ぜいじゃく)性に対する当社のリスクレベルは?」といった質問を英語などの言語で入力すると、すぐに対策を返答するという仕組みだという。コンピュータープログラムに精通していないユーザーでもセキュリティーに関する対策を立てやすくするのが狙いだ。
24年1月期に黒字化
業績の伸びは著しい。24年1月期売上高は前期比36%増の30億5555万ドル(約4858億円)だった。売上高は過去5年間、年平均66%増と、高成長が続いている。年間契約のサブスクリプション(定期購入)収入が売上高の94%を占め、収益の安定性は高い。サブスクリプション収入の30%は新規顧客によるものだった。
今年1月末時点で同社への支払額が年100万ドル(約1億5900万円)以上の大口顧客数が580を超え、その売上高は前年比33%増だった。値上げや高価格サービスにシフトした既存顧客の売上高が毎年増加していることから、サブスクリプション契約客…
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週刊エコノミスト
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