カルマート タイの化粧品大手「Cathy Doll」の製造販売元 児玉万里子
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Karmarts 過去3年間の配当性向は平均52%/120
カルマートはタイ化粧品大手だ。同国の名門、チュラロンコン大学で鉱山学を専攻した20代後半のウィワット・ティーカキーリーグン氏(現最高経営責任者=CEO)が1982年、前身会社の家電販売業セントラル・オーディオを創業した。同社はその後、家電メーカーとなり、ディスター・エレクトリックと改名。94年にタイ証券取引所に上場した。
日本でも販売
2006年には天然ガスを燃料とする自動車事業、09年に「カルマート」ブランドの化粧品輸入・販売業に参入。化粧品事業の売上高が増えたことから11年に現社名に変えた。12年からは自社ブランドの製造を始め、東南アジア向けの輸出に乗り出した。16年以降は自動車事業の売上高を計上しなくなり、化粧品を含む日用品事業だけとなっている。23年には丸紅が発行済み株式の18%を取得した。
化粧品事業に参入した当初、グローバルブランドの化粧品を輸入する事業から始め、次に輸入した半製品を自社工場で包装して出荷する形式、さらに独自ブランドを企画・製造する事業へと進んだ。このプロセスは、欧州や日本のメーカーに比べて後発のタイ化粧品メーカーの多くがたどった道だ。その結果、商品開発、製造手法、販売戦略などのノウハウを蓄積できた。さらにカルマートは自社工場で最終製品を作ることで、原材料や人件費などのコストを削減し、企画から発売までの時間を短縮することに成功している。
想定顧客層はミレニアル世代(18〜40歳)としている。心身の健康を維持することに関心が高く、美容用品に興味があり、そのトレンドを積極的に追いかける世代だ。価格帯を同世代に高くも安くもない水準に設定している。
製品分野はファンデーションや頬紅などのメーキャップ化粧品▽化粧水や乳液などのスキンケア化粧品▽顔以外の部位に塗るクリームなどのボディーケア化粧品▽口腔(こうこう)衛生を目的とするオーラルケア製品▽シャンプーなどのヘアケア製品▽痩身(そうしん)などを目的とするサプリメント──など多岐にわたり、1000品目を超す。14種のブランドを展開するうち、11年発売の自社ブランド第1号「Cathy Doll(キャシードール)」はタイで知名度が高く、日本でも販売する。
販路には大きく分けて①化粧品店、地元スーパーマーケット、薬局などの在来ルート、②コンビニエンスストア、化粧品店チェーン、大型スーパーなどの新ルート、③同社が運営する直営店「カルマート・ショップ」、④輸出、⑤インターネット──の五つからなる。
カルマート・ショップは23年末現在、16カ所に上り…
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週刊エコノミスト
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