マーケット・金融 グラフの声を聞く

世界は日銀の量的引き締めを警戒 市岡繁男

 2009年3月、金融危機に直面した米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和(QE)の導入に踏み切った。欧州中央銀行(ECB)もギリシャ危機を機にマネー増刷に転じ、日銀も13年4月以降、「異次元緩和」を強力に推し進めた。

 その結果、09年からの11年間で、FRBやECBの総資産は2.2~2.6倍、日銀は4.6倍に拡大した(図1)。日銀の資産増が突出している理由は、FRB等は金融が安定した時点でQEを停止したのに対し、日銀はインフレ目標が未達だとしてQEを続行したからだ。

 コロナ禍では FRBやECBはQEを再開し、日銀もQE拡大で対応した。だが22年2月のウクライナ戦争勃発で、FRB等はすかさず利上げを実施し、量的引き締め(QT)も断行。日銀も当初はFRB等と同じく資産を縮小したものの、22年10月以降は再び拡大基調に戻す。国内金利の上昇を見て日銀は、国債残を半年間で40兆円、8%も増やすことで、金利上限を維持しようとしたのだ。

残り209文字(全文629文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月15日・22日合併号

歴史に学ぶ世界経済第1部 マクロ、国際社会編18 世界を待ち受ける「低成長」 公的債務の増大が下押し■安藤大介21 中央銀行 “ポスト非伝統的金融政策”へ移行 低インフレ下の物価安定に苦慮■田中隆之24 インフレ 国民の不満招く「コスト上昇型」 デフレ転換も好循環遠い日本■井堀利宏26 通商秩序 「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事