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経済・企業 大阪・関西万博を問う

大阪メトロ中央線にかかる「来場者輸送」の過大な負荷/6 木下功

大阪・関西万博の会場となる夢洲。奥の橋が夢舞大橋(2024年7月19日)
大阪・関西万博の会場となる夢洲。奥の橋が夢舞大橋(2024年7月19日)

 会場となる夢洲への主要ルートは、同じ人工島の舞洲側から渡る夢舞大橋と、咲洲側から抜ける夢咲トンネルの二つしかない。

>>連載「大阪・関西万博を問う」はこちら

 来年4月13日に開幕する2025年大阪・関西万博。この連載でも紹介したように期待を寄せる中小企業や商店、学生らがさまざまな形で参加しようとしている一方、海外パビリオンの建設工期の遅れや会場建設費・運営費の膨張、防災・安全対策の策定の難しさなどさまざまな問題が浮上している。今回は大阪メトロ中央線に過大な負荷がかかる「来場者輸送」の課題について取り上げる。

ピーク時22.7万人を想定

 万博協会は、来場者総数を開催期間の約半年間で2820万人と見込んでおり、ピーク時には1日22万7000人が訪れると想定。「万博来場者の安全で円滑な移動の実現」と「大阪・関西圏の社会経済活動を支える人流・物流への影響の最小化」を目的に、「大阪・関西万博 来場者輸送具体方針(アクションプラン)」を半年に1回程度のペースで策定している。昨年11月には第3版を公表しており、第4版は本誌の発売前に公表される可能性が高い。この原稿は執筆時点(7月10日)で使える第3版のデータを基に議論する。

 来場者輸送での最大の問題は、アクセスルート不足だ。万博の会場となる夢洲(ゆめしま)は大阪湾に埋め立てられた人工島であり、夢洲への主要ルートは、同じ人工島の舞洲側から渡る夢舞大橋と、咲洲側から抜ける夢咲トンネルの二つしかない。アクションプランでは主要ルートとして、大阪メトロ中央線▽JR桜島線と桜島駅からのシャトルバス▽阪神高速2号淀川左岸線(新大阪駅、大阪駅前など発の駅シャトルバス)を提示しているが、夢舞大橋か夢咲トンネルを使用しなければならない。

 万博会場へのアクセスで最も輸送力の高いのは大阪メトロ中央線で、夢咲トンネルを使って会場へ直接乗り入れができる。JR桜島線は鉄道の輸送力は大きいが、万博会場へは桜島駅からバス連絡が必要となる。

 建設中の区間を暫定整備して使用する淀川左岸線(2期)のルートは輸送力は小さいが、鉄道各社の特急列車と連携した予約制のシャトルバスの運行や、完全着座式のバス導入で快適性を確保した輸送が可能としている。夢洲への自家用車乗り入れは認めない方針で、自家用車は舞洲・尼崎・堺の大型駐車場に止めてシャトルバスに乗り換える「P&R(パークアンドライド)」で対応する。

2~3分ごとの発車

 懸念されるのは、大阪メトロ中央線への過大な負荷だ。

 アクションプランによると、1日来場者数が16万人に達すると、駅シャトルバスなどの輸送力がターミナルの受け入れ容量やバス事業者が運行できるバスの便数から限界に達するとし、20万人を超えたあたりから輸送における鉄道の割合が加速度的に増加すると予測。来場者が集中する日のピーク時には、運行本数を1時間に1…

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週刊エコノミスト

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