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好調「台湾半導体」世界経済の追い風に 藤代宏一

 筆者は台湾の経済指標を重視している。言わずもがなだが台湾は半導体の生産集積地であり、その動向は日本を含む世界経済にとって有益な示唆を与えてくれるからだ。半導体の動向は今、世界経済を語るうえで最も重要なファクターになっている。

 まず半導体市況の現状を確認するために、世界半導体売上高に目を向けると、2024年5月は前年同月比19.3%増と順調に伸び率が高まっている。スマホやパソコンに用いられる従来品の回復は途上段階にあるものの、AI(人工知能)向けの飛躍的増加もあり、全体として拡大局面入りしている。

 次に半導体市況の先行きを占うために、台湾の輸出受注に目を向けると、6月は前年同月比3.1%増と4カ月連続でプラス圏を維持した(図1)。輸出の6割を占める電子製品と情報通信技術製品が、ともに増加基調を維持する安心感のある結果であった。また製造業PMIも6月に一段と改善し、22年3月以来の高水準となった。コロナ期の特需(需要がサービスから財へ移動)によって異常値的な水準に達した21年を除くと「好調な領域」と評価できる。

 この間、電子部品の出荷・在庫バランス(出荷と在庫それぞれの前年比の差分)はプラス23.6ポイントと需給が逼迫(ひっぱく)方向にあることを示している(図2)。数値の上昇は、在庫の伸び以上に出荷が伸びる状態にあることを指す。

 内訳は出荷が23.6%増と21年6月以来の高い伸びとな…

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