教養・歴史 闘論席

個人と集団と生成AIと 池谷裕二

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

池谷裕二の闘論席

 生成AI(人工知能)は個人の創造性を向上させる一方で、集団全体の多様性を減少させる──。そんな研究結果が発表された。ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのドシ博士らによる研究で、7月の米科学誌『サイエンスアドバンシズ』に掲載された論文がその詳細を明らかにしている。

 Chat(チャット)GPTをはじめとする大規模言語モデルをどう活用すべきか。プロンプトを駆使して一から文章を生成させる方法は、現状では幻覚(ハルシネーション)のリスクも伴い、必ずしも最適な使用法とはいえない。少なくとも現時点では、生成AIの真価は、文章の校正や翻訳、あるいは長文の要約といった分野で発揮される。

 加えて、私個人としては新たな着想を得たい際に生成AIに意見を求める。「ChatGPTよりも豊かな発想力を持つ人は9.4%」とする論文もある。創造性において全人類の上位9.4%に入る自信のない私自身は、アイデアの醸成のパートナーとして、不可欠な存在となっている。

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