検証・戦後日米首脳会談 第4回 ニクソンと寝室で「繊維」の密談 元首相・福田赳夫(上)(1991年1月29日)
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検証・戦後日米首脳会談 第4回 ニクソンと寝室で「繊維」の密談 元首相・福田赳夫(上)(1991年1月29日)週刊エコノミストは1991年1月~5月、戦後の日米首脳会談の裏側で何かあったのかを歴代の首相、外務大臣、官房長官などの証言を基に総点検した連載「検証・戦後日米首脳会談」を掲載しました。「エコノミスト創刊100年特集~Archives」でこれを再掲載します。※記事中の肩書、年齢等は全て当時のままです。
◇深慮遠謀で沖縄返還に取り組んだ佐藤首相
沖縄返還交渉は「雑音を刺激し、かつそれに災いされないように」とパリで、返還に伴うカネの詰めはワシントン郊外でひそかに進められた。パリとワシントンに極秘電が飛びかったが、日本のマスコミは知る由もなかった。あろうことかその電文の一部が、新聞記者の手に落ちた──。
語る人=元首相・福田赳夫(上)/聞き手=本誌編集委員・鈴木健二
唐突な佐藤の訪沖縄
── 佐藤政権の7年余は、外交面でいえば沖縄に始まり沖縄で終わった観がします。1965年1月の初の日米首脳会談で沖縄問題を持ち出し、72年の5回目の会談で返還を完結させる。佐藤さんはなぜ沖縄返還にあんなに情熱を傾けられたのでしょうか。
福田 なぜなのか、は私もはっきりと承知しておりません。65年でしたか、その年に入ってすぐに抜く手も見せずというような感じを与えるくらい唐突に、沖縄へ行くのだという話が出てまいりまして、あれあれと、このように思っておったわけです。
── 65年1月の記者会見でしたね、沖縄訪問を口にしたのは。「沖縄に是非訪問したい。沖縄の祖国復帰は時間の問題であり、必ずできる。もう少し辛抱しても…
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週刊エコノミスト
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