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教養・歴史 書評

マルコ・ポーロ没後700年の節目に『東方見聞録』を“味わう” 加藤徹

 マルコ・ポーロ(1254~1324年)が故郷のベネチアを出発し東方へ旅立ったのは1271年。ユーラシアを3年かけて横断し、74年に「大元ウルス」(元王朝)の夏(なつ)の都である上都(現在の中国、内モンゴル自治区)で皇帝クビライに謁見。マルコはクビライに気に入られ、臣下となり、約17年も元の宮廷に仕えた末、95年にベネチアに帰国。マルコの口述をまとめた書物『東方見聞録』は、後世に大きな影響を与えた。

 実は、このマルコという人物は謎だらけだ。『東方見聞録』には飲食に関する記述は多いが、中国人が日常的に飲んでいた茶の記述がない。マルコは実は中国までは行っておらず伝聞を語っただけだと説く学者もあれば、そもそもマルコは実在しなかったと主張する学者もいる。

 今年は、そんなマルコの没後700年という記念の年である。歴史料理研究家の遠藤雅司氏の新著『食で読む東方見聞録』(山川出版社、2200円)は、マルコの冒険の旅を追体験する視点を楽しみつつ、当時の世界各地の歴史と飲食文化を知ることができる。冒頭のカラーページには、再現されたおいしそうな料理の数々の写真が並ぶ。本文では当時の料理書のレシピも紹介。『東方見聞録』が言及する地域の歴史と飲食文化を、わかりやすく説明する。

『東方見聞録』が描くクビライの宮廷の饗宴は豪華だ。大きな甕(かめ)で酒が、桶(おけ)ほどの容量の壺(つぼ)で馬乳やラクダの乳などさま…

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週刊エコノミスト

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