週刊エコノミスト Online 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

結婚して名前の字画数が悪くなったので改名したい/223

フランツ・ローゼンツヴァイク(1886〜1929年)。ドイツ出身の哲学者。ヘーゲル哲学の研究やユダヤ思想研究で知られる。著書に『救済の星』などがある。(イラスト:いご昭二)
フランツ・ローゼンツヴァイク(1886〜1929年)。ドイツ出身の哲学者。ヘーゲル哲学の研究やユダヤ思想研究で知られる。著書に『救済の星』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 自分の名前、結婚して字画数まで悪くなったので改名したい 私は昔から自分の名前が好きではありません。親が字画数で選んだそうですが、結婚して字画数まで悪くなったので、悪いことが起こる前に改名しようかと思っています。気にしすぎでしょうか?(会社員・30代女性)

A 今日と明日の自分が同一人物との保証、そんな名前に今一度チャンスを

 あなたは誰ですかと問われれば、私は自分の名前を答えます。また、自己紹介してくださいといわれれば、まず自分の名前を名乗ります。おそらく誰もがそうでしょう。つまり、名前はその人を表しており、それだけ重要だということです。

 ですから、名前の字画数が気になるとか、名前自体が好きではないというのは決して気にし過ぎではなく、重要な問題だと思います。そこで今回は、ドイツの哲学者フランツ・ローゼンツヴァイクの名前に関する哲学を参考に考えてみたいと思います。

 ローゼンツヴァイクによると、名前とは今日と明日をつなぐ保証だといいます。たしかに、名前は今日の自分が明日の自分と同一人物であることを示す保証になりえます。たとえ私が今夜記憶を喪失したとしても名前は変わりませんから。

自分を好きになる

 面白いのは、そんな大事な名前を、人は自分で選べないということです。少なくとも生まれた時点では。命名は他者によって行われるものだからです。だからローゼンツヴァイクは、自分自身を超えるよう指示するものとして名前を捉えるのです。そこには命名者による希望や意味が込められているというわけです。

 とはいえ、名前が持つ意味は決して不変ではありません。

 なぜなら、それは〈いま〉と〈ここ〉によって規定されるも…

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