教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

生きる意味を哲学的に知りたい/224

エミール・ミハイ・シオラン(1911~1995年)。ルーマニアの哲学者。作家としても知られ、独自のニヒリズム思想を展開した。著書に『生誕の災厄』などがある。(イラスト:いご昭二)
エミール・ミハイ・シオラン(1911~1995年)。ルーマニアの哲学者。作家としても知られ、独自のニヒリズム思想を展開した。著書に『生誕の災厄』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 哲学的に知りたい、生きる意味とは何? 最近日常がマンネリ化し、つい人生の意味について考えてしまいます。別にうつ状態ではないのですが、哲学的に知りたいのです。はたして私たちが生きる意味とは何なのでしょうか?(旅行代理店勤務・30代男性)

A 人生の意味には答えがありません。どう考えれば生きやすいかを見つけてみては

 日常がマンネリ化した時、あるいは日常がうまくいかない時、ふと人生の意味について考えてしまいますよね。人はなぜ生きるのか。人生の意味については哲学の世界でも定番のテーマだといっていいでしょう。それだけ多くの人が直面する悩みなのです。

 一つの答えとして参考になるのは、20世紀ルーマニアの哲学者エミール・ミハイ・シオランの思想です。自らも生涯人生の意味について考え、苦しんだ人物です。その結果彼が見いだしたのは、なんと人生に意味はないし、意味があってはならないという答えです。面白いのは、意味があってはならないとまでいっている点です。

 シオランにいわせると、もし人生に意味などあったら、それを求めることが生きる目標になってしまいます。そうすると、生きるのがつらくなるのではないかということです。もちろん、簡単に目標が見つかり、かつそれを常にクリアできるなら問題ないようにも思えます。でもそれはなかなか難しいでしょう。何より、そんなふうに常に人生の意味や目標に縛られていては、自由に生きることができません。

 ここが最大のポイントです。もし人生に意味があったら、私たちは自由に生きられないのです。ですから、そんなものないと思って生きた方がかえって自由になれます。本来、人は自由に生きていい存在…

残り628文字(全文1328文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月29日・11月5日合併号

セブンショック 次の標的は18 日本企業よ!買収提案は起死回生のチャンスだ■荒木涼子20 セブンの判断 新時代を切り開いた特別委設置■松本大21 安すぎる買収提案 創業家に物言わず退任した鈴木敏文氏の責任は重大だ■鈴木孝之22 クシュタール解剖 同業を積極買収で急成長 高い投資効率を維持■児玉万里子 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事