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米国が景気後退に陥らない重要な理由 藤代宏一

 米連邦準備制度理事会(FRB)は9月18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利下げを決めた。世界の主要中央銀行の首脳らが集まる「ジャクソンホール会議」(8月23日)でパウエルFRB議長が「労働市場の一段の冷え込みは望みも歓迎もしない」「労働市場を支えるために何でもする」と話していたのはその伏線だったのかもしれない。

 パウエル議長を0.50%の利下げに駆り立てたデータとしては、ジャクソンホールから2週間もたたない9月4日に発表された7月の雇用動態調査(JOLTS)求人統計が大きいだろう。7月の求人件数は767万件と市場予想の810万件を明確に下回り、しかも6月の数値は791万件へと27.4万件も下方修正された。水準はパンデミック発生前より高いが、この間の人口増を踏まえれば、決して多いとはいえない。

 またFRBが重視する失業者1人当たりに対する求人件数の割合は1.07へと急低下。危険水域というほどの水準ではないものの、企業の採用意欲が減衰していることは明白であり、このところの低下速度から判断すると下抜けが懸念される状況にある。この指標は2022年3月には2を超え、求職者は引く手あまたの状況にあったが、現状は大きく変化している。求人件数の低下基調と失業者数の増加基調が交差するのは秒読みの段階にあり、求人倍率は早晩1を下回る公算が大きい。

 このように労働者優位の状況が崩れつつ…

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週刊エコノミスト

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