教養・歴史 アートな時間

戦意高揚から反戦へ 栗山民也と大竹しのぶが描き続ける林芙美子の評伝劇 濱田元子

2024年の稽古場風景写真 撮影:宮川舞子
2024年の稽古場風景写真 撮影:宮川舞子

舞台 こまつ座「太鼓たたいて笛ふいて」

 井上ひさしは歴史上の人物を取り上げた数多くの「評伝劇」を書いている。夏目漱石の「吾輩は漱石である」、松尾芭蕉の「芭蕉通夜舟」、樋口一葉の「頭痛肩こり樋口一葉」、魯迅の「シャンハイムーン」、小林多喜二の「組曲虐殺」しかり。いずれも、周囲の人々との関係も含めて人生をユーモアとペーソスあふれるタッチで描きながら、時代と社会状況をくっきりと浮かび上がらせていく。

 本作も『放浪記』『浮雲』などの名作で知られる作家、林芙美子(1903〜51年)の戦中・戦後にわたる16年の軌跡をたどる音楽評伝劇だ。

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