教養・歴史 アートな時間

友の死を機に人のつながりが広がるのを水彩画のように描いた群像劇 野島孝一

©︎2024「アイミタガイ」製作委員会
©︎2024「アイミタガイ」製作委員会

映画 アイミタガイ

「アイミタガイ」とは、「相身互い」のことだ。お互いさまだから気にしないで、という日本人のやさしさが込められた言葉で、この映画も日本人の繊細な感情に彩られている。

 中部地方の都市でウエディングデザイナーとして働く梓(黒木華)は、親友だったカメラマンの叶海(藤間爽子)が事故死したことにショックを受けている。梓にはサラリーマンの恋人(中村蒼)がいるが、結婚には踏み切れていない。梓は叶海が死んだとわかっていても、生前から交わしていたスマホのトーク画面にメッセージを送り続けている。

 叶海の父親(田口トモロヲ)は、図書館司書をしている。その自宅に叶海宛てに児童福祉施設からカードが届く。施設に電話して聞くと叶海は年に何回か施設を訪れていたという。父親は妻を伴って施設に行ってみる。梓の叔母(安藤玉恵)は、ホームヘルパーをしている。訪問先には老婦人(草笛光子)がいて、古いが立派なピアノが置いてある。だが、老婦人はなぜかピアノを封印していた。

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