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物価高の経験が変えるインフレ予想 斎藤太郎

 消費者物価上昇率は、円安に伴う輸入物価上昇を起点として、2年半にわたって2%を上回っているが、中長期的な物価上昇率の水準に大きな影響を及ぼすのは予想物価上昇率だ。高い物価上昇率が一定期間継続したことで、企業や家計の予想物価上昇率は高まっている。

 日銀短観における企業の物価全般の見通し(5年後)はこのところ2%台前半で推移している。また、家計の1年後の物価見通し(内閣府「消費動向調査」)は政府の物価高対策などによる消費者物価上昇率の低下によってやや鈍化しているが、依然として3%台後半の高水準となっている。一方、「ESPフォーキャスト調査」におけるエコノミストの長期的な物価見通し(7〜11年先)は上昇傾向にあるものの、1%台半ばの水準にとどまっている(図1)。

 予想物価上昇率は足元の物価動向に左右される傾向があることには注意が必要だ。

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