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週刊エコノミスト Online 書評

米大統領選が終わって売れ始めたトランプ夫人の自伝 冷泉彰彦

 大統領選で再び当選したドナルド・トランプ氏の妻、メラニア・トランプ氏の自伝『MERANIA』が発売されたのは選挙の直前の10月であった。特別な暴露もなく、また夫との不和などが生々しく描かれているわけでもないこともあり、出版当初は話題にならなかった。だが、夫の大統領職への復帰が決まると、突然売れ始め、アマゾンのチャートでは書籍部門の1位に躍り出ている。

 内容は、旧ユーゴ時代のスロベニアに生まれて、両親の愛情のもとで少女期を過ごした時代から始まる。冷戦やユーゴ内戦の証言は少なく、首都・リュブリャナの大学時代に始めたモデル業が成功して米国に渡る部分などは、「移民によるアメリカンドリーム」のストーリーそのものだ。トランプ氏といえば「反移民」というイメージがあるが、夫人が移民であることを全く隠そうとしない点で、本書は読者に軽いサプライズを与える。実は、…

残り630文字(全文1007文字)

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