トランプ2.0の米国を待ち受ける景気悪化 藻谷俊介
アメリカ大統領選挙が終わった。世間ではトランプ氏の圧勝と認識されがちだが、現在も開票作業は続いており、総得票率はトランプ氏49.9%、ハリス氏48.3%で、一時は5%ほどあった差は1.6%まで縮まり(11月22日現在)、トランプ支持も過半数を割った。やはり世論を二分する激戦だったのである。
もちろん勝敗は決している。しかし今回は、共和党が優位な激戦州でハリス氏が善戦し、両者の差は全国平均並みかむしろ小さい。ウィスコンシン州は0.8%、ミシガン州は1.5%、ペンシルベニア州では1.8%であったから、各種世論調査の平均でハリス氏が2%ほど優位だった10月上旬の状態で選挙を行えば、3州で合計44人の選挙人を押さえてハリス氏が勝利していた可能性もあった。
最後の1カ月に世論調査平均でトランプ優位にひっくり返ったのは、時期から言えばイーロン・マスク氏の大量資金投入(10月1~16日で4360万ドル、約65億円)による接戦州での各戸訪問や、ウェブで住所などを登録した有権者に47ドル(約7000円)を支払う、日本なら買収に相当するようなスキームが貢献したと考えられる。後者については現在各地で検察が訴追しているが、再選挙は現実的ではない。事後、異様なほど…
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週刊エコノミスト
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