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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

人生観が変わるような経験をしたいのですが/231

L.A.ポール(1966年~)。アメリカの哲学者。心の哲学や認知科学の哲学などを専門とする。共著書に『Causation』(未邦訳)などがある。(イラスト:いご昭二)
L.A.ポール(1966年~)。アメリカの哲学者。心の哲学や認知科学の哲学などを専門とする。共著書に『Causation』(未邦訳)などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 人生観が変わるような経験をしたいのですが…… 自分の人生観が変わるような経験をしたいのですが、他方で自分が変わってしまうことへの不安もあります。こういう場合何を基準に決めればいいでしょうか?(広告代理店勤務・30代女性)

A 変わったあと何を新たに得るか、その発見に価値を見いだそう

 実はこの問いは、私がやっているビジネス哲学研修を導入する際にも時折聞かれるものです。哲学をはじめ、人生観が変わるかもしれない経験をするのは、誰しも警戒するものです。その影響力が強力であればあるほど。

 こんな時、私はアメリカの哲学者L.A.ポールによる「変容的な経験」の話をするようにしています。

 変容的な経験というのは、これまで経験したことのないような種類の経験であり、かつ自分の中核を変えてしまうような経験のことを指します。たとえば、新たなキャリアを開始するといった割と身近なものから、宗教的な回心をするといった非日常的なものまで含みます。

 では、そんな大きな変化をもたらす経験をするべきかどうか、どのように決断すればいいのでしょうか? ここで問題になるのは、自分がどう変わるかわからないので、単純にシミュレーションできない点です。

変容の不安さえ楽しんで

 そこでポールが持ち出すのは、啓示的価値という基準です。いわば新たに何が得られるのか発見すること自体に価値を置く考え方だといっていいでしょう。これなら、どうなるかではなく、とにかく変わることが大事になってきますから。

 その意味では、変わることで得られる客観的な価値よりも、変わりたいという主観的な価値を重視しているといえます。もっとも、だからといって客観的価…

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