トランプ2.0は米中の“制裁と報復の連鎖”を招くのか 真家陽一
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習近平国家主席は2024年11月7日、大統領選挙で返り咲きを果たしたトランプ前米大統領に祝電を送り、「相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力の原則を堅持し、新たな時期に正しい道を共に歩むことを希望する」と表明した。習主席は長期的には米国との戦略的競争における勝利を目標とするものの、短期的には経済減速を背景に対米関係の安定化を望んでいると指摘される。
対中強硬姿勢を示すトランプ氏にどう対応するか。国際関係学院の金燦栄教授は11月7日、ポータルサイト「捜狐」のコラムで「中国政府は準備を整え、トランプ氏が仕掛ける新たな貿易戦争に対応するため、包括的アプローチを打ち出すべきだ」と強調。金教授は対外的には「一帯一路」を通じてグローバルサウスなどとの連携を強化し、保護貿易主義に共同で反対する一方、国内ではマクロ政策の調整を強化し、貿易戦争が経済に与える影響を相殺することを提起する。
他方、産業界にはトランプ氏の政策を不安視する向きもある。半導体関連シンクタンク「芯謀研究」は11月6日に公表したリポートで「先進技術に重点を置いたバイデン氏とは異なり、トランプ氏は成熟技術を含む中国の半導体に無差別に制裁を発動する可能性がある」との見解を示した。また、同リポートは米国のシンクタンクが「これまでの制裁の効果は不十分」と分析していることを踏まえ、「半導体は技術覇権に関わるだけに、米国が対中制裁に極端な手段を講じる可能性は否定できない」と警戒感をあらわにした。
懸念されるのは両国による制裁と報復の連鎖だ。米国の対中輸出・投資規制に対して、中国は法規制を整備しつつ、対抗措置を打ち出してきたが、経済的な…
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週刊エコノミスト
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