オクロ 次世代小型原子炉開発の米企業 岩田太郎
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OKLO Inc トランプ次期政権のエネ長官候補が取締役/136
オクロは、次世代小型モジュール原子炉(SMR)の開発を行う米国の企業だ。2013年に創業し、24年5月にニューヨーク市場に上場した。近い将来に急増が予想される人工知能(AI)データセンターの電力需要向けなどに、従来の大型原子炉より、安価で安全な電力源を短期間で設置できるとされている。事故発生時には、特別な操作や外部からの電力供給なしに、核分裂反応を停止し、自然に冷却できるという。
オクロが開発したSMR「オーロラ」は、従来型原子炉と異なり、燃料補給なしで最大20年間稼働可能なのがアピールポイントだ。独自に加工された高濃度のウラン235燃料を使用する予定で、早ければ27年に最初の商業炉を稼働させることを目標にしている。
「生成AIの伝道師」が会長
オクロは、「生成AIの伝道師」として知られるサム・アルトマン氏が会長を務めている。アルトマン氏は業界で先行するAIスタートアップのオープンAIの最高経営責任者(CEO)で、さらに、オクロの取締役であるクリス・ライト氏が、トランプ次期政権でエネルギー省長官に指名されており、同社に市場の注目が集まっている。
従来の原子力発電所は、一般的に1000メガワット前後の発電能力があるが、オクロのSMRは、15メガワットないし50メガワットの発電規模を持つ。
24年11月に、オクロがデータセンター2社に対し、最大750メガワットの電力を供給する契約を結んだことが発表され、これにより、同社の契約見込み電力は合計約2100メガワットに達した。また、同年12月には、オクロが米データセンター大手のスイッチに対し、この先20年で12ギガワット分の電力を提供する基本契約が締結された。基本契約は詳細を欠き、金銭的な支払いも伴わない。しかし、米エネルギー調査企業のウッド・マッケンジーによれば、AIブームにけん引されるデータセンター関連の電力需要は、30年までに毎年10~20%ほど伸び、新たに13~35ギガワットという莫大(ばくだい)な電力が必要と予測している。スイッチとの契約は有望な収益源となる可能性がある。
また、マッキンゼーによる30年までの米データセンターの電力需要予測では、全米の電力消費に占めるデータセンターの割合は、23年の3.7%から24年には4.3%、30年には11.7%にまで…
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週刊エコノミスト
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