中国NEV産業に焦りと困惑 BYD除く専業メーカーは経営不振 岸田英明
「中国の新エネルギー車(NEV)産業は転換点にある。業界では、このまま発展を続けられるのかと焦りや困惑が広がっている」──。最近筆者が面談した、中国の大手自動車メーカーで市場調査を行っている研究員の言葉だ。「焦り」の要因は、過当競争による利益低迷や、輸出や海外投資環境の悪化など複合的だ。
2024年11月の中国の新車販売は331.6万台で、NEVは151.2万台で全体の45.6%。NEV販売の約6割がバッテリー駆動の電気自動車(BEV)だが、約4割のプラグインハイブリッド車(PHV)がシェアを拡大している。冒頭の研究員は「中国ではPHVを充電せず、ガソリンで走らせているドライバーが少なくない」と話していた。PHV人気の背景には、EVよりも便利かつ安価であるほか、EV同様に補助金を受けられ、ガソリン車よりもナンバープレートを取得しやすいといった優遇がある。ただPHV市場で圧倒的なシェアを持つBYDを除き、多くのNEV専業メーカーは苦しい経営が続く。
近年の中国自動車メーカー全体の利益推移を見ると、17年の6890億元(約14.4兆円)をピークに23年は5413億元に減少、24年1~10月…
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週刊エコノミスト
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