お弁当を撮り続ける――阿部了さん
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写真家 阿部了/138
あべ・さとる 1963年東京都生まれ。80年国立館山海上技術学校(千葉県)を卒業後、気象観測船「啓風丸」に4年間、乗船。87年、東京工芸大学短期大学部(現在は東京工芸大学)に入学。写真家の立木義浩氏の助手を経て95年、独立。2000年、手作りのお弁当と、食べる人のポートレートの撮影を開始。全日本空輸(ANA)の機内誌『翼の王国』で07年4月号から連載「おべんとうの時間」を妻でライターの阿部直美さんとともに手掛ける。11年からNHK「サラメシ」出演中。著書に『おべんとうの時間』1〜4(木楽舎)など。
公園や職場で食べている、あの人のお弁当。何を食べているか、どんな様子で食べているのか、知りたくなる。お弁当とお弁当を食べる人を撮ることで、見えてくることがある。(聞き手=永野原梨香・ライター)
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── 働く人の昼ご飯を紹介するNHKのバラエティー番組「サラメシ」(木曜午後8時15分〜)では、「お弁当ハンター」として日本各地の働く人たちのお弁当を撮影しています。
阿部 2011年の放送開始から時折、出演しています。年に10回ぐらいでしょうか。最近では、山形県のけん玉の工房、長崎県の椿(つばき)油製品づくりの現場へ行きました。サラメシでは数人、多いと10人ぐらいのお弁当を午前中に撮らないとならない。お昼になったら、お弁当を食べている人も撮る。みなさん、それぞれ違う場所で食べていることもあって、結構、バタバタです。
人って面白いんですよ。毎日、同じように食べている。右端から食べていたり、おかずの何かを必ず先に食べたり。家族でいつも一緒にご飯を食べていても、サラメシでお弁当を食べる家族を改めて見た時、「こんなふうに食べるのね」と分かることもある。それに、人のお弁当って、まじまじ見るものじゃないでしょう。「この人、こんなお弁当食べ…
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週刊エコノミスト
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