裏金問題で自民の“脱皮”未完 巳年の選挙ラッシュの審判は? 仙石恭
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「巳(み)年」と「亥(い)年」は、大型選挙が多くなる。前者は3年に1度の参院選と4年に1度の東京都議選、後者は参院選と4年ごとにある統一地方選が重なるためだ。
巳年の今年、参院選は7月20日投開票との見方が強い。都議選はその前、6月下旬から7月上旬に実施される見通しだ。二つの選挙が、政治日程の軸となる。
石破茂首相は1月6日の年頭記者会見で「今年はヘビ年だ。ヘビは脱皮を繰り返し大きくなることから、再生や進化の年とも言われている」と紹介した。ただ、少数与党の政権運営は綱渡りで、選挙情勢も厳しい。自民党の再生も容易ではない。
自民は派閥の裏金問題の影響で、昨年10月の衆院選で大敗した。だが、事件が表面化する前から、地方組織では、ほころびが生じていたように見える。
まず、党を支える党員数が減少傾向だった。2020年末は約113万人と前年比で約5万人増えた。ところが、21年末、22年末は112万人台、23年末は約109万人に減った。
総裁選では毎回、党員票の行方が注目されてきた。事実上、次の首相を選べる投票権を得られるのだが、党員数は伸び悩む。党は120万人の獲得を目標に掲げるが、達成するめどは立っていない。
地方選の結果も芳しくなかった。23年10月の宮城県議選では、自民が過半数を割り込んだほか、都内などの首長選でも自民が支援した候補がたびたび敗れていた。
東京都議選でも争点か
その後、裏金問題への世論の批判が強まり、大逆風が吹き続けた。
昨年2月の前橋市長選は、自民推薦の現職を野党系新人が破った。4月の衆院3補選では、不戦敗を含めて全敗。保守王国と呼ばれる地域でも負けることが珍しくなかった。5月の静岡県知事選でも自民が推薦した候補が落選した。
自民ベテランは「党員をやめる支援者が増え、党への反発がどんどん激しくなった」と指摘した。
岸田文雄首相が退陣し、石破氏が新しい党の顔となっ…
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週刊エコノミスト
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