進む与野党ボーダーレス化 立憲、公明に接近の気配 人羅格
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石破茂内閣は野党に譲歩しつつ、臨時国会を乗り切った。ただし、政治決戦となる7月参院選を乗り切る展望は開けていない。与野党のボーダーレス化が進む中、新たな連携も模索されている。
少数与党の現実重く
「回りくどい『石破構文』だとおしかりをいただいている。最初から結論を言わないといけない」。12月下旬、経済関係者との会合で首相は自らの答弁が冗長だとの批判を引き合いに出し、笑いを誘った。補正予算が成立し、少し余裕ができたのかもしれない。
ただし、初の本格論戦だった臨時国会の現実は厳しかった。
少数与党では、国会のテーマすら野党が設定することを痛感させた。2大テーマは控除額の年収「103万円の壁」と、「政治とカネ」。国民民主党との協議が難航した控除上限額は、見切り発車の形で123万円への引き上げを決めた。
政党からの政策活動費は、野党の主張通り廃止された。「公開方法工夫支出」という抜け穴を自民が一時提案したのは、野党に譲るための「のりしろ」としての小細工だったのか。
しかも、両課題とも決着は先送りである。年収「103万円の壁」の与党と国民民主の協議は25年度本予算案の衆院審議と並行するかもしれない。補正予算こそ、国民民主が主張する178万円を「目指し」という玉虫色文書でかわした。だが、今度はそうはいかない。
「政治とカネ」も企業・団体献金問題が放置されている。政治資金パーティーの不記載(裏金)問題を巡っては、自民党東京都連を舞台とする問題が都議選前に発覚した。収束には遠い。
政権「2月危機説」が、ささやかれるゆえんだ。ただし、少数与党である限り仮に首相が退陣しても野党のどこかが協力しないと予算は成立しない。
国民民主は「103万円」で追い風に乗っただけに、下手に譲歩すれば支持者の失望を生む。古川元久代表代行はテレビ番組で税収減の財源対策に関し、地価税の凍結解除に言及した。するとネットで支…
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週刊エコノミスト
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