「マネーはテクノロジー」の時代にひもとく歴史=増山修
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仮想通貨取引が話題の昨今、人類にとってお金とは何かを問い直す本もいくつか刊行されている。本書はお金と人類の関係史をその起源から現在、未来へと展望する好著。
電子商取引の権威である著者は「マネーはテクノロジー」と言い放つ一方で、歴史をひもとくことを忘れない。この視点を常に持ち続ければ、私たちは現在起きている諸事象を改めて捉え直すことができる。反現金論、なぜ現金を取っておくのか、誰がマネーを作るのかなどをもう一度じっくり考察すると、自分は現実に存在するどの形態を、なぜ支持するのかという根拠を自己の中に構築できるのではないだろうか。
ただ、著者は「マネーは(歴史の中で)中年期に差し掛かっている」としながら、タイトルではいまだ古代バビロニアのチグリス川を漂っているとも示唆している。私の感覚では、すでにフィンテックは後戻りのできないルビコン川を渡ってしまっているような気もするのだが……。
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週刊エコノミスト
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