リーマン・ショック10年 私のリーマン・ショック 篠原尚之 特筆すべきは危機直後のG20で政策協調…
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特筆すべきは危機直後のG20で政策協調、反保護主義に同意したこと
震源地の米金融当局者でさえリーマン・ショック直後、事態の全容が把握できていなかったことには驚いた。米住宅バブルの崩壊が実体経済にどのようにして金融システムに波及していくか、その経路が理解できていなかった。
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米国の住宅価格は2006年にはピークを付け、下落局面に入っていたが、「金融システムは万全だから、住宅バブルが大崩れしたところで大事には至らない」と、米連邦準備制度理事会(FRB)はじめ米金融当局は楽観的過ぎた。油断や慢心があったと私は思う。
ただ、その後の対応は見事だった。日本やスウェーデンの不良債権問題の研究をすぐに実行に移した。つまり、金融機関の損失を確定させ、バランスシート(貸借対照表)をきれいにすることを促すために、不足する資本を公的資金で速やかに注入したことだ。
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