経済・企業エコノミストオンライン

唐突な外国人労働者受け入れ拡大 賃金引き上げ目標に矛盾も=横山渉

単純な受け入れ拡大は、人権侵害を助長しかねない。(岐阜県で長時間労働の被害を訴えるミャンマーの技能実習生)(毎日)
単純な受け入れ拡大は、人権侵害を助長しかねない。(岐阜県で長時間労働の被害を訴えるミャンマーの技能実習生)(毎日)

安倍晋三政権は6月15日、経済財政運営の指針「骨太の方針2018」を閣議決定した。少子化や人手不足に対応するため、外国人労働者の受け入れ拡大方針が明記され、2025年ごろまでに50万人超の就業増を想定した。就労を目的とした新たな在留資格を創設し、人手不足が深刻な5業種(建設、農業、介護、造船、宿泊)について、一定の日本語能力と技能を持った外国人や、既存の技能実習を終えた外国人を対象に5年を上限に在留を認める方針だ。

 日本はこれまで建前上「外国人の単純労働は認めない」ことになっていた。それが、外国人受け入れの方針に大きくかじを切ったのは、「人手不足が経済成長の制約要因になっている」(内閣府)との認識があるからだ。実際の国内総生産(GDP)成長率と日本経済の実力を示す「潜在成長率」の差を示す「GDPギャップ」は、17年1~3月期にプラスに転じ、同年7~9月期に0・7%まで拡大した。労働人口の制約など供給側の問題…

残り2416文字(全文2825文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事