三菱日立合弁、タイ贈賄で初の司法取引 「個人に責任転嫁」に親会社の事情も=北島純
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三菱日立パワーシステムズ(MHPS)がタイ南部の火力発電所建設に絡んでタイ港湾当局者に贈賄したとして、7月20日、東京地検特捜部が同社元取締役ら3人を起訴した。この事件が大きな注目を集めたのは、6月1日から施行された「司法取引」(合意制度)が我が国で初めて適用されたからだ。今回、MHPSが東京地検との司法取引に応じたことにより、法人としての起訴は見送られ(起訴猶予)、案件処理を担当した同社元取締役常務執行役員兼エンジニアリング本部長、元執行役員兼調達総括部長、そして元調達総括部ロジスティクス部長という3人の元幹部が個人として、不正競争防止法違反の外国公務員贈賄罪で在宅起訴された。
今回の司法取引が「法人は不起訴、個人を起訴」という形になったことから、組織犯罪をあばく手段として導入された司法取引の制度趣旨に反するのではないかという批判もあがっている。そのような批判があたっているか、事件の背景と教訓とともに検討してみよう。
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