永江朗の出版業界事情 出版流通は今や崩壊寸前
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以前この欄で、出版物輸送量の偏りを是正するため、一部の雑誌の発売日を変更する取り組みについて紹介した(2月27日号)。だがその後も事態は深刻さを増すばかりで、もはや細かな調整では追いつかなくなっている。
物流専門紙『カーゴニュース』によると、出版物輸送を手がける会社の約半分が、2~3年以内に撤退することを考えているという。東京都トラック協会のアンケートをもとにした分析である。
撤退の理由は出版物輸送では経営が成り立たないからだ。運賃は輸送量に応じて支払われるが、この20年、出版物市場は縮小を続けている。配送先の書店がこの20年で激減する一方で、コンビニエンスストア(CVS)は増え続けている。CVSは扱い量が少ないが、納品時刻を細かく指定されるなど手間がかかる。
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週刊エコノミスト
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