インド株 ルピー下落で逆風=児玉卓
ルピーの下落が株価の逆風となりつつある。ルピーの対ドルレートは年初から12%強下落。これがインフレ圧力を高めるとともに、交易条件の悪化を通じ経常赤字を拡大させる懸念がある。4~6月期に実質国内総生産(GDP)成長率が前年比8・2%まで高まるなど、インドは勝ち組と目されてきたが市場は弱点に目を向けているようであり、インド準備銀行(中央銀行)は成長よりインフレ抑止と経常赤字拡大抑制を優先せざるを得ない。
引き締め気味の政策運営は短期的には株価にマイナスだが、まずはルピーの下落に歯止めをかけることが、中期的な株価の底値を浅くすることにもつながろう。残るリスクは来年春に控える総選挙に向けて、財政赤字拡大懸念が強まることだが、そうしたリスクに備える意味でも、政府が準備銀行の独立性を最大限尊重することが死活的に重要である。
(児玉卓・大和総研経済調査部長)