出生率引き上げる女性の「フルタイム化」 人手不足を人口反転の契機に=小川直宏 本誌版「社会保障制度審」第17回
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日本が直面する「人手不足」という危機は、企業で働く女性の雇用のフルタイム化を通じて、出生率を向上させるチャンスにもなる。そのことを統計分析で示していく。
まず、これまでの少子化の経緯を振り返る。日本は1947~49年の短いベビーブームの後、10年間で人類史上初めて経験するスピードで出生率が半減した。その後は73年の第1次オイルショックまで合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は2人前後で推移したが、70年代半ばからほぼ連続して低下した。そして90年に、前年の合計特殊出生率が1・57と史上最低を更新したことが判明し「1・57ショック」が起こると、危機感を持った政府はようやく少子化対策を開始した。
92年から育児休業法が施行され、94年には子育てを社会全体で取り組むとした「エンゼルプラン」が策定された。その後も数々の少子化対策が連続的に導入されたが、合計特殊出生率の低下は止まらなかった。
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