「労働時間」「教育費」「保育」が鍵 少子化克服へ「結婚・出産」の増加要因検討=柴田悠 本誌版「社会保障制度審」第9回
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日本社会にとって、人口減少問題に取り組むことは喫緊の課題だ。少子化のスピード、つまり出生数が減るスピードが速いと、高齢者人口が多いままで納税人口と就業人口が急減し、高齢者福祉の財政悪化と人手不足が深刻化する。したがって、出生数減少スピードはできるだけゆっくりのほうが、社会の持続可能性は高い。ではどうしたら出生数減少スピードを緩和できるのか、これから前後2回にわたって検討していきたい。
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- <2006年の35年ぶり出生率反転 妊娠・出産時の費用負担軽減が奏功=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第12回>
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- <2・9兆円投資で、出生率2・07到達の可能性 労働生産性上昇と…=柴田悠 本誌版「社会保障制度審」第10回>
日本では、出生数は「若年女性人口(15~49歳)×若年女性有配偶率(若年女性の既婚者割合)×有配偶出生率(若年既婚女性数に対する出生数の比率)」でほぼ計算できる。「ほぼ」と書いたのは、この計算式では婚外子が考慮されていないからだ。ただ、出生数に占める婚外子の割合は、日本ではわずか2%だ。そのため、日本での出生数のほとんどはこの計算式でカバーできる。
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週刊エコノミスト
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