保育サービスの一段の拡充を 非正規雇用是正と男性育児参加もカギ=阿藤誠 本誌版「社会保障制度審」第16回
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第3回は少子化への政策対応について論じる。少子化が始まって以来不干渉政策を続けてきた日本政府は、1990年に前年の合計特殊出生率が1・57と当時の過去最低を更新したことが判明した「1・57ショック」を契機として(後に「少子化対策」と呼ばれた)少子化問題への取り組みを始めた。少子化対策は、90年代は欧米で家族政策と呼ばれる子育て支援(主として「子育ての経済支援」と「仕事と子育ての両立支援」からなる)に徹していたが、2003年の少子化社会対策基本法ならびに次世代育成支援対策推進法の成立を境に出生を促す性格を強めた。
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- <結婚と出生先送りが負のスパイラル 出生率低下の8割は初婚行動に起因=阿藤誠 本誌版「社会保障制度審」第14回>
- <少子化克服へ「5本柱」を総合展開 在宅支援含めた「家族政策」へ転換を=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第13回>
- <2006年の35年ぶり出生率反転 妊娠・出産時の費用負担軽減が奏功=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第12回>
- <「1.57ショック」以下の出生率 団塊ジュニアへの楽観が裏目に=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第11回>
- <「労働時間」「教育費」「保育」が鍵 少子化克服へ「結婚・出産」の増加要因検討=柴田悠 本誌版「社会保障制度審」第9回>
- <2・9兆円投資で、出生率2・07到達の可能性 労働生産性上昇と…=柴田悠 本誌版「社会保障制度審」第10回>
この後、子育て支援は予算的にも法律的にも目立って強化された。14年になり、地方創生法の下、人口1億人維持につながる「国民希望出生率1・8」が達成目標とされ、少子化対策は教育改革、働き方改革、若者の雇用対策、東京一極集中の緩和など広範囲の政策と一体となって取り組まれるようになった。以下、これまで実施されてきた少子化への具体的対応を4点に絞って概括し、国際比較に基づいて評価してみたい。
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週刊エコノミスト
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