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超少子化の背景に四つの複合要因 根強い男女役割分業的な価値観=阿藤誠 本誌版「社会保障制度審」第15回
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前回、わが国の超少子化が、人口学的には主として「結婚の先送り」に連動した「出生の先送り」によって起こったことを明らかにした。この現象は、時代的には1970年代半ばから2000年代半ばまで、世代的には50年代前半生まれ以降70年代後半生まれ世代まで不可逆的に続いた。それでは、この時代、この世代でなぜ先送り行動が続いたのであろうか。超少子化の背景は複合的であるが、以下4点に整理してみる。
- <結婚と出生先送りが負のスパイラル 出生率低下の8割は初婚行動に起因=阿藤誠 本誌版「社会保障制度審」第14回 >
- <少子化克服へ「5本柱」を総合展開 在宅支援含めた「家族政策」へ転換を=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第13回>
- <2006年の35年ぶり出生率反転 妊娠・出産時の費用負担軽減が奏功=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第12回>
- <「1.57ショック」以下の出生率 団塊ジュニアへの楽観が裏目に=増田雅暢 本誌版「社会保障制度審」第11回>
- <保育サービスの一段の拡充を 非正規雇用是正と男性育児参加もカギ=阿藤誠 本誌版「社会保障制度審」第16回 >
- <「労働時間」「教育費」「保育」が鍵 少子化克服へ「結婚・出産」の増加要因検討=柴田悠 本誌版「社会保障制度審」第9回>
- <2・9兆円投資で、出生率2・07到達の可能性 労働生産性上昇と…=柴田悠 本誌版「社会保障制度審」第10回>
第一は、高度経済成長の結果訪れた豊かな社会の到来である。高度経済成長期及びその後の安定成長期にかけて、経済的には、産業化(工業化・サービス経済化)、就業者の自営業から被雇用者へのシフトである「サラリーマン化」、所得水準の上昇が続いた。社会的には、都市化、高学歴化、テレビの影響力拡大、モータリゼーションが進行し、家族においては核家族世帯化、専業主婦化が進んだ。
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