週刊エコノミスト Online特集

アジア新興国の落とし穴は中国依存度=山田雪乃 偽りの世界好景気

 米中貿易摩擦が激化するなか、米国が9月17日に対中製品への追加関税「第3弾」の内容を公表後、金融市場では「悪材料出尽くし」との見方が広がった。

 こうした見方の背景には、貿易戦争で米中の実質国内総生産(GDP)に悪影響が出たとしても、米中がそれぞれ関税による税収増と同規模の財政支出を行うことでほぼ相殺される──という見通しがある。例えば、中国の場合、輸出減少でGDPは0・22%減少するが、財政支出を行うことで0・05%の減少にとどまると見られる(大和総研試算)。

 しかし、貿易摩擦が世界経済にどの程度の影響を与えるかは、「サプライチェーンの変化」を加味して考えなければ見えてこない。というのも、トランプ米大統領による対中追加関税は、中国との「ハイテク製品を巡る覇権争い」との認識が浸透した今、これまで様子見していた各国が一斉に“米中の高関税を前提とした生産体制”の構築へとシフトし始めると考えられるためだ。

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