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東京市場 ストラテジストが読む 日経平均は7年ぶり年間下落か=隅谷俊夫

 日経平均株価は、経験則では1年で最も上昇しやすい12月に入っても2万1000円台で低迷している。米中貿易摩擦への懸念に加え、米景気の先行き減速懸念が浮上してきたことが主な要因になっている。

 日経平均の予想PER(株価収益率)が12倍前後まで低下し、アベノミクスがスタートした2013年以降で最低水準になるなど割安感は強いものの、これが株価の本格反転に結びついていない。

 需給面では日経平均が2万4000円台から2万1000円台へ急落した18年10月に個人投資家が1兆円以上、現物株を買い越したほか、日経平均に連動するETF(上場投資信託)を中心に投資信託を数千億円買い越した。このまとまった規模の押し目買いの大半が含み損を抱えており、戻り待ちの売りや損失確定の売りが相場の重しになっている。

 18年もあと2週を残すのみとなった。日経平均の今年の始値が2万3073円だったので、今年の年足は7年ぶりに陰線(終値が始値を下回ること)になる可能性が大きくなった。1990年のバブル崩壊後、年足の陰線は1回で終わったことがなく、今年が陰線になると来年も陰線が続く確率が高くなる。

 来年の年足が陽線になるか陰線になるかを別にしても、今年が陰線になったことで、今年の年間高値の2万4000円台を来年更新するにはかなりの困難が伴うことを示唆するシグナルと考えられる。

 なお、今年の日経平均は2月と10月に急落して変動が大きく感じられたが、年間の変動率(昨年末の終値に対する年間高値と安値の差)は18%と04年以来の低さになりそうだ。昨年までは4年連続で約25%で推移した。2月と10月の急落は1年を通じた狭いレンジ内での動きだったことになる。

 ちなみに、04年から翌年の変動率は、小泉純一郎元首相の郵政選挙大勝(05年)によって49%に跳ね上がった。18年、狭いレンジ内で蓄積されたエネルギーが19年、上下どちらかに大きく放出される可能性もある。

(隅谷俊夫・東海東京調査センター投資調査部長)

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