「地域共生社会」の背景に見える厚労省の思惑とは=三原岳
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介護保険の財政が厳しさを増している。65歳以上の人の保険料負担も右肩上がりの状況が続く。そうした中で、厚生労働省は近年、「地域共生社会の実現」を声高に主張し始めた。その理念は理想的であるとしても、現場ではとまどいの声が聞かれる。この背景には、介護保険財源を確保するため、現在は「40歳以上」である介護保険料の対象年齢を引き下げたいという思惑があるように感じられる。
厚労省は2016年7月、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を発足させ、現行の縦割りの公的福祉サービスから、地域が一体となって支え合う「地域共生社会」への転換を検討している。その前月に閣議決定された「ニッポン1億総活躍プラン」や「骨太の方針2016」で「地域共生社会の実現」がうたわれたことも受けた動きだった。その後、地域共生社会実現本部は17年2月、「当面の改革工程」を発表し、20年代初頭に向…
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週刊エコノミスト
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