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苦境だけではない百貨店 「体験する空間」で反撃=小林知代

 年末のニューヨークは、各百貨店がクリスマスデコレーションで趣向を凝らし、街全体が別世界に変身する。筆者も毎年ではないが、この季節、買い物の用事が無くても、街の雰囲気を感じるためにニューヨークへ出かける。

 そんな冬のニューヨークを演出してきた名門百貨店『ロード&テイラー』が、5番街の旗艦店(1914年開店)を2019年1月に閉鎖すると報じられた。からくり人形やミニチュアトレインなど、同店舗のクリスマスのウインドー・デコレーションを楽しんできたニューヨーカーはさぞかし悲しんだに違いない。筆者にとっても同店舗は、近寄りがたい高級感をまとい、親しい人への贈り物や自分へのご褒美を買う特別な場所だった。同百貨店は、ネットショップにかじを切り、再生を狙う。

 米国内では、百貨店の苦境が指摘されて久しい。シカゴに本社を構える老舗の『シアーズ』も18年秋に経営不振で破産申請した。格付け会社『S&Pグローバル・レーティング』によると、米国の小売業の倒産や債務不履行は17年、金融危機(08年)の記録的なレベルを大幅に超え、18年はさらにそれを上回るペースだと予測している。実店舗ビジネスにウォール・ストリートの投資家からの風当たりも強い。

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