教養・歴史書評

『資本主義の歴史 起源・拡大・現在』 評者・平山賢一

    『資本主義の歴史 期限・拡大・現在』
    『資本主義の歴史 期限・拡大・現在』

     本書は、批判の多い資本主義が、その批判をのみ込みつつ変化してきた歴史を、早足ではあるが本質に迫るタッチで描くものである。

     国境線を基準とした世界史に慣れた我々にとっては、現代の大きなテーマの一つである国境を越えていく経済の世界史を確認することで、複眼的に現在と将来を考えうるようになる。特に21世紀には、国家を基盤とした企業や政府系ファンドなど、民間企業のみに依存しない資本主義の在り方が問われるようになっている。現在ほど、「資本主義の長期の歴史を知ることは、現在の資本主義を理解する」助けとなり、思考回路に一つの基軸を与える教科書が必要な時代はないだろう。

     著者は、1500年ごろまでは、経済と社会は非資本主義的な諸原理により機能していたものの、その後の300年間は英国等で、政府の積極的役割・植民地化により資本主義の拡大が社会を席巻したとしている。その上で現在は「オーナー資本主義」から、資本と経営の分離による「経営者資本主義」が台頭し、さらに「金融(投資家)資本主義」の色彩が強まる時代と位置づけている。

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