週刊エコノミスト Onlineワールドウオッチ

論壇・論調 独諮問委の「脱石炭」波紋 雇用対策など納税者の負担重く=熊谷徹

脱原発の次は脱石炭(ドイツの火力発電所)
脱原発の次は脱石炭(ドイツの火力発電所)

ドイツ政府の諮問委員会が1月26日に「2038年までに褐炭・石炭火力発電所を全廃するべきだ」という提言を発表し、経済界・論壇では激しい議論が行われている。

 特に委員会が政府に対し、関連産業で働く約5万人のための雇用対策事業費などとして、今後20年間に400億ユーロ(約5兆2000億円)を超える資金を投じるよう提言したことについては、「脱原発に続くエネルギー政策の転換は、ドイツの納税者にとって莫大(ばくだい)な負担となる」という論調が強い。

 メルケル政権のエネルギー政策に批判的なドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』のN・ザボジ記者は1月28日付の社説に「高価な妥協案」というタイトルで、「今回の提言によって、地球温暖化と気候変動につながるエネルギー源の比率は縮小していく。そのことは環境団体にとって勝利を意味するが、多額のコストを負担する納税者にとっては、敗北だ」と指摘。

残り1070文字(全文1472文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事