論壇・論調 独諮問委の「脱石炭」波紋 雇用対策など納税者の負担重く=熊谷徹
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ドイツ政府の諮問委員会が1月26日に「2038年までに褐炭・石炭火力発電所を全廃するべきだ」という提言を発表し、経済界・論壇では激しい議論が行われている。
特に委員会が政府に対し、関連産業で働く約5万人のための雇用対策事業費などとして、今後20年間に400億ユーロ(約5兆2000億円)を超える資金を投じるよう提言したことについては、「脱原発に続くエネルギー政策の転換は、ドイツの納税者にとって莫大(ばくだい)な負担となる」という論調が強い。
メルケル政権のエネルギー政策に批判的なドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』のN・ザボジ記者は1月28日付の社説に「高価な妥協案」というタイトルで、「今回の提言によって、地球温暖化と気候変動につながるエネルギー源の比率は縮小していく。そのことは環境団体にとって勝利を意味するが、多額のコストを負担する納税者にとっては、敗北だ」と指摘。
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週刊エコノミスト
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