米中摩擦でも堅調な対中投資 外資の「中国離れ」は限定的=岸田英明
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2018年の中国の主要経済統計がおおかた出そろった。新車販売台数が28年ぶりに前年を下回るなど、景気減速を示す数字が注目を集めたが、堅調だった指標もある。その一つが、海外から中国への直接投資(FDI)だ。
中国商務部によると、18年の対中FDI(金融類除く)は前年比3・0%増の1349億ドル(約15兆円)。主要投資国の中ではシンガポール、韓国、英国、日本、ドイツ、米国がそれぞれ2ケタ以上の伸びを示した。18年は世界全体のFDIが前年から約2割落ち込む中、中国は前年を上回り、米国に次ぐ世界第2位の額を集めた。
これらの数字に中国の当局者は安堵(あんど)したはずだ。18年は米国が対中制裁関税を発動させた7月以降、海外メディアの間で「外資の中国撤退論」がしきりに報じられた。成長減速や米中摩擦による事業環境の悪化で外資が対中投資を減らし、東南アジア諸国連合(ASEAN)などへ事業拠点の移転を加速させる、という論だ。だが実際には、この年の対中FDIの動きは堅調だった。特に下期には、米エクソンモービルの広東省で…
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週刊エコノミスト
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