教養・歴史書評

『アナログの逆襲 「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる』 評者・池内了

著者 デイビッド・サックス(ジャーナリスト) 訳者 加藤万里子 インターシフト 2100円

若者をも魅了して復活 核は生きている実感

 現代はデジタル一辺倒時代へ移行する最初の時期で、まだデジタル交じりのアナログ時代であるが故に、私のような旧時代のアナログ人間も生きていける。30年先ともなれば、おそらくアナログが少しだけ交じったデジタル万能時代になって、私は時の流れから置き去りにされるのは確実である。幸い、そんなに先までは生きていそうにないことを喜ぶべきだろう。

 忘れてはいけないことは、今後デジタル時代が全面展開するといっても、ICつまり情報と通信と商業に関わる技術がデジタル化するだけで、農業や工業という物質の生産過程の根幹はアナログであり、それがなければ人間は生きていけないということである。そして、人間そのものの存在や思考も本来アナログ的であり、決して0と1の組み合わせに分解できないということも。

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