『箱根0区を駆ける者たち』 評者・黒木亮
有料記事
著者 佐藤俊(スポーツライター) 幻冬舎 1300円
過当競争尻目に独自指導 もう一つの箱根駅伝
1987年に日本テレビが全国中継を開始したのを契機に、箱根駅伝は国民的イベントとなり、各大学は、受験生獲得のための宣伝ツールとして、駅伝チームの強化に億円単位の予算を注ぐようになった。競技力は飛躍的に向上し、評者が出場(79年3区、80年8区)した頃の区間賞のタイムで走っても、今ではほぼ区間最下位である。
勝つために、2カ月近くある夏休みを合宿に費やす大学もざらで、本来、学業ときちんと両立してこそ学生スポーツの価値があると思うのだが、事態がここまで過熱しては、もはや誰も理想に耳を傾けないのかと諦めの心境になる。
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週刊エコノミスト
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